「……ちょっと、そういうこと言わないでくれます」


「いや、それならいいのよ!
だけど前にあんたに電話掛けたら、男の人が出たから…」



ちょっとお母さん、誤解を招くような言い方はやめてくれ。


それはサークルのみんなでご飯を食べていて、それで寝てしまったあたしの代わりに、先輩が電話に出ただけなんだから。




「前にも説明したでしょ、それは。
それより家に帰ろうよ、疲れちゃった」



そう言うとお母さんは慌てて、あたしを車に乗せて家に帰った。










「あ、お姉ちゃんお帰りー!」


家について早速出迎えてくれた杏菜。



「ただいまぁー。あー、めっちゃ疲れたー。もー二時間くらい立ちっぱなしだったよぉー」



ドサッと荷物を投げて、床に寝転がった。



夏はバイトとレポートで、お盆だけしかいられなかったから、今回はもう少しゆっくりできる。




「あ、キョー兄ちゃんの所行こうよ!
今日休みな筈だし、実はお姉ちゃんが帰ってくること言ってないんだ~」


いたずらっぽい笑みを浮かべる杏菜。


あたしはそんな杏菜の言葉に、ただ動揺するばかり。