「だって半年も経ってねーもん。
そーだ、今年も俺ボーナス出たからなんか買ってあげる」


さっきの美菜のように、俺も話を逸らした。


『変わってないね』

――変わりたくなんて、なかったんだ。

もし俺が変わったら、本当にあの日の約束がなくなるような気がしたから。



「いーよ、あたしになんて。
それより貯金とかしたら?将来の為に」

「まーいんじゃね?将来とかわかんねーもん」

「なに言ってんの。将来結婚して、子供とかできたら困っちゃうよ」


美菜のその言葉に、一瞬戸惑った。
その結果、

「……美菜はさ、そういうこと心配しなくていーんだよ」

と、まるで気にしていないかのような素振りをして、そう返した。




「ごめん…」


俺のその言葉に、菜美は俯いてそう言った。



そして、俺も美菜も黙り込んでしまって。
俺も、きっと美菜も気まずい。



――大した会話もしないまま、いつの間にか家に着いて、美菜と別れた。