4748日後のクリスマス




「さて、そろそろ帰ろうかな。明日も仕事だし。
すごく美味しかったわ」


母さんのその一言で、俺はやっとか、と安易のため息を吐いた。
やっぱり俺にこの空気は、気まずすぎる。


「あ、そうね。ごめんなさい忙しいのに来て頂いちゃって。ほら美菜、家まで送っていってあげて」

「は?」


突然のおばさんのその言葉に、美菜は驚いたように声を上げた。
勿論昔から頭の上がらないおばさんに、美菜が逆らえるはずもなく、送ってもらうことに。

…別に、送られる距離でもないと思うんだけど。



川瀬家を出て、俺はすぐにコンビニに行く、と告げた。

やっと抜け出せたと思えたのに、これじゃあさっきと全く変わらない。



「あらそう……あ、美菜ちゃんも行ってきたら?」

「え?」

「久し振りに近所でも散歩してみたらどう?」


…何を言い出すんだこの人。
俺の気持ちを知ってて言っているに違いないんだろうけど、ここまですることはないだろう。


「あ…でも…」


美菜は戸惑っているようで、俺の様子を伺っていた。
どうやら、俺のことを気にしているようだった。