「ふーん。キョーちゃん、もう二十歳過ぎてるんだもんねー。いーなー」

「まぁ美菜もあと少しじゃん。それまで我慢我慢」


そう言ってキョーちゃんはあたしに笑顔を見せた。


……ほら、完璧に子供扱い。




「……仕事の人って、女の人?」


「は?」


突然のあたしの質問に、キョーちゃんは不思議そうに聞き返した。



「声、女の人っぽかったから…」

「あぁ、事務の人。ちなみに年上だよ」


大して興味もなさそうにキョーちゃんは言った。


………モヤモヤする。


あたし、嫉妬してる。

その女の人にも、キョーちゃんにも。


今のあたしは、ひどい人だ。



「……キョーちゃん、あたしって子供?」

「え」


またもや突然のあたしの質問にキョーちゃんは驚いていた。



「どうしたの急に。
…まぁ、年下だし、子供っていえば子供じゃね?」



“年下”


やっぱり、キョーちゃんからみたあたしは、“年下”という言葉で割り切られていたのだろうか。



さっきの心のモヤモヤが更に強くなった瞬間、あたしは、


「キョーちゃなんて大っ嫌い!」


…と、キョーちゃんに向かって思ってもない言葉を口にしていた。