看護婦さんに
二人の部屋を案内してもらう。

亮ちゃんも
勇ちゃんも
こんなとこにいないのに
なんで看護婦さんは
案内してるの?

真剣にそう思った。



「ここです。」


「ありがとうございました。」
お母さんは弱弱しくお礼を言った。


ゆっくり
病室のドアを開けた。



そこには
誰だかもわからないくらいの
二人がいた。



「あれ?そっくりさん?」
私は震えた声でそう言って
床に倒れこんだ。


「琴音・・・。
現実を見て。二人は植物人間なの。」

お母さんが私を抱きしめる。

「いやぁ!ちがうちがうよぉ!」

「琴音!現実を受け止めないと
ダメなのよ!お母さんだって辛いの!」


現実ってなに?
なにが現実・・・?
わかんないよ。


私は変わり果てた二人のそばに行った。

「おーい。いつまで寝てんの?」

もちろん返事はかえってこない。

「亮ちゃん~勇ちゃん~・・・」



「琴音、お母さん売店に行ってくるね」

「わかったぁ~」
そう言ってお母さんは病室を出た。


3人いるのに
一人ぼっちになった気分。


「ねぇ・・起きて・・・。」

涙があふれる。

「私、二人と仲直りしたいのっ
起きてくれないと
仲直りできないよぉっ・・・」



願いは決して叶わない。


そう思った・・・。