ギターだけが響く中、
「でも何でまた?」
柏木は何気なく聞いてきた。
なんでって言われても……
あたしあんまり頭良くないからウマク説明できないよ?
「自分に自信つけるために。武器がなきゃ戦えないことに気づいた!」
「あ~……なんとなくわかる。それ」
わかってくれたよ。
こんな抽象的な表現を。
「でも僕以外わからないんじゃないかな」
そう優しく話す柏木の横顔はいつもと同じ。
夕日に照らされて、ギターも夕日にかたどられて……
キレイな影が出来て。
切なげな声が漏れる……。
それは……いつもと同じなのに……すごくすごく愛おしい風景。

