恋の唄





いつもとは違う。


先生に追われて逃げ込むために音楽室へ走るんじゃない。



報告したくて。


柏木に会いたくて。



あたしは走ってる。



「柏木!!」



ドアが閉まる前に叫ぶ。


今日はちゃんと柏木はあたしより早く来ていた。



「三田さん、勢いよすぎ」



言葉は迷惑そうだけど、ギターを弾く手は軽快だ。