お昼から夕方へ向かうまでのまろやかな日差しが窓に差し込む。 その日差しが優しく柏木の髪を撫でて……顔をなぞり……身体をかたどって……ギターを照らす。 出来た影は芸術品。 それを眺めるのが好きだった。 「……いいね。柏木の声……低音ハスキー」 「ヘイタクシー?」 「……音楽家としてその聞き間違えはどうかと思うよ?」 影だけじゃなくて 可愛い顔のくせに、ガタイ良くて、そのガタイに見合った、少しかすれた切なげな声が好きだった。