「な……なに言ってるんだか!」


パシンッと勢いよく柏木の手を振りほどく。


さっきまで触れていた部分が……熱い。



「ほら。照れてないで三田さん行くよ」


「て……照れてなんかねぇよ!」



いやまぁ……完全に照れてますけど。


悟られるのはイヤじゃん。



薄暗い廊下を柏木の後について帰ることにした……。


二人だけの足音が耳にだけじゃなくて心に響く。


今、ここに柏木がいなければあたしの足音しか聞こえない。



当たり前のことだけど、それはすごく寂しいことだと思った。