歌い終えた柏木に小さく拍手を送った。
拍手に答えるかのように柏木は頭を下げながら右手を上げた。
「どうもどうも。じゃぁここで一つ、三田さんに良い話をしましょう」
「何それ。いらない」
「返品不可です。ではいきます……」
コホンッと咳払いをして、柏木はあたしに向き合った。
「人生、引き返すことはできないけど再スタートはできる。だから進みタイ道が見つかるまで、迷っていいと思う」
「……ん。」
「それでも道が暗くて真っ暗で……動けないときは僕を呼んでくれたらいい。道を教えることはできないけど、明るく照らすことはできるから」
「……うん。」
……また小難しいこと言いやがって。
ミュージシャン目指すヤツってこんなクサかったり、難しいこというの?
……でもま、なんとなく有難いよ。

