「それがどうした!?だからなにさ!?何が逃げ道じゃ!」


「僕がいるから三田さんはそのままでいられるんだよ」


「いなかったらどうなるって言うの?」


「いなかったら……三田さんはどっか遠くにでも走って行ってるんじゃない?誰もいないとこへ」


「…………行くか、バーカ」



行かないよ。


誰もいないところになんて。



行く前に力尽きて、反発する力さえ失って、流されるほど身軽でもなくて。


きっとその場に座りこんでるよ。



柏木がいるから、



あたしは今、精一杯、反発できてる。


それは……逃げ道じゃなくて


力なんだよ。