恋の唄



「それで本気で歌ってみようって気になったんだよ」


「だからか。次の日ここに来たら別人みたく声大きくて、スゲェって感動したんだよね」


今思えば柏木を本気にさせたあたしがスゲェんじゃん?

なんて思ってみたり。


「で?昨日もあたし本気にさせたっけ?」


昨日こそ感情任せにしゃべった気がするよ。

あたし何言ったっけ?



「ストリート一本でやれるくらい音楽に本気なくせにって……言ってくれた」


……そんなこと?


「三田さん、そんなこと?って思った?」


「う……ご名答」


「そんなことじゃないよ。実は僕自身そこまでの心意気なかったんだ」


「はぁ!!?」


柏木は本気だと思ったのに!


これじゃあたし一人熱くなってたみたいじゃん!