恋の唄




「そう、三か月前。僕が気持ちよく一人で歌ってたらさ。三田さんいきなり音楽室に入ってきたんだよ?」


「あ~……それはなんとなく覚えてる」


「それで何言ったか覚えてる?」


「それなんだよね。覚えてない」



柏木は「やっぱり」って小さく呟いてまた笑った。


今日の柏木はよく笑う。




ススむベキ、ミチが決まったから?



「三田さん、初対面の僕にこう言ったんだよ」


柏木は大きく息を吸って、上目使いで目つき悪くして言った。




「声小せぇよ!ギター耳障りなんだよ!もっとデッカく、プロっぽく弾きやがれ!」




……そんなこと言ったっけ?