恋の唄




「良かった……。もう三田さんは僕の歌、聞きたくないのかと思った……」


柏木の安心したような顔は見ていたあたしをさらに恥ずかしい気持ちにさせた。


柏木のヤツ。

何、安心してんだか。



……嬉しいじゃねぇか。




「柏木には会いたくなかったよ」


「……それでも会いに来てくれた」


「会いに来たんじゃなくて。ギターの音が聞こえたから。アンタの歌が聞こえたから。だから来たの!」


「それがすごくうれしいんだって。わからない?三田さん」


「わかんねぇ~」


ハッて鼻で笑うあたしの隣で柏木はギターを鳴らし始めた。




……今日の歌はなんだろう。