「三田さん!」 「げっ。」 逃げようとしたら手首を掴まれた。 「痛っ。離してよ」 「離したら逃げるでしょ?」 「逃げるよ」 「追いかけるよ?」 「かければいいじゃん」 「三田さん、僕と追いかけっこしたら僕が勝つよ?」 勝ち誇ったような柏木の笑み。 「……はい」 観念します。 健全な高校男子に勝てるような足の速さは持ち合わせておりません。