「柏木がそんなんじゃ……あたしだってこのままでいられるわけないじゃん!!」
バタンッ!!!
「三田さん!!」
柏木が止める声も聞こえないふりして音楽室を飛び出した。
いつも教室から音楽室へ向かうときよりも速い足で。
大人にならなきゃ。
現実見なきゃ。
一緒に逃避してた仲間が現実見ちゃったんだから。
ピーターパンはもう終わりだ。
目、覚まさなきゃ。
本当はわかってたんだ。
……やりたいことがないまま、そのままじゃダメだって。
でもそれを認めたくなくて。
認めたら自分の存在がなくなりそうで。
でもいつしかここから抜け出さなきゃって。
でも抜け出したくなくて。
向き合いたくなくて。
だって、向き合ったらきっと……
その先は闇でしかないよ?