「そう。おかしいんだ」
「なら……」
「でもそれでいいんだ」
「良くない!そんなん!夢は!?」
「叶えてるでしょ?ストリートミュージシャン」
さらりと言ってのける柏木に腹が立った。
「違うよ!なんか違うよ!ホントはプロやりたいくせに!!ホントはストリート一本でやれるくらい音楽に本気なくせに!!」
柄にもなく本気で叫んだ。
きっと顔真っ赤だ。
……カッコ悪。
そしたらいつもギター止めなかった柏木の手が止まった。
……ゆっくり……その手があたしに伸びてきて……
頭を優しく、撫でてくれた……。
「お願いだから、三田さんはそのままでいて?」
……柏木のバカ。
切なそうな顔しやがって。
あたし一人置いて
大人になってんじゃねぇよ。