握った、小さな手が、 ほんの少し動いた。 円らな瞳が、 ゆっくりと、ほんの少し開いて、 私をとらえた。 「りょ、う」 「あ・・・ゆみ・・・」 弱弱しい声。 聞きたくない。こんな声。 怖くなる。 「りょうっ!」 「遅く、なって・・・ご、ごめん・・ね?」 「何言ってるの!」 「一緒に、帰ろっ・・・か」 りょう、ほんのちょっと微笑んでくれてる。 頷くだけしか、 手を強く握るだけしか できない。