“カランカラ~ン”
「只今戻りましたぁ。すみませ~ん、ちょっと話し込んじゃってぇ。これがまたなかなかのイケメンで……」
 デリバリーを終えたカナが言い訳しながら帰ってきた。店内に目をやると視界にリュウが入った。2人は目が合った。
「あぁぁぁ!!」
「よう」
「“よう”じゃないわよ、ようじゃ。何しに来たのよ!? お金なんかないくせに! また“ツケといて”とか言ってハジメちゃんにタカる気でしょう!?」
「人聞きの悪いこと言うなよ。今日はちゃんと払うよ」
「今日は? いつもちゃんと払いなさいよ!」
「うるせぇ女だな」
「“うるさい”とはなによ、うるさいとは! 私は人として当然の……」
 カナはリュウが座るテーブルにリンがいることに気づいた。
「あぁぁぁ!!」
「今度は何だよ?」
「ちょっとぉ、リンにチョッカイ出さないでよねぇ!」
「出してねぇよ。ちょっと名前聞いただけだよ」
「出してるじゃない! やめてよね! リンは私の大事な友達なんですから!」
 2人のやりとりに呆気にとられて状況を把握できずきいるのがもう2人。
「そのくらいにしてちょうだい。他のお客さんにも迷惑でしょ。兄妹ゲンカなら外でやってちょうだい」
 マダムは仲裁しながらテーブルにクラブサンドを置いた。
「マスター……」
「ハジメちゃん……」
「えっ!?」
「兄妹!?」