「いやいやいや。迷っちゃったんだって。中央診療所ってどっちだっけ?」
「東です」
マキオは面倒くさそうに答えた。
「東? そうか。サンキュー」
(サンキュー? こんな抽象的な答え方でわかってんのかよ? ここの土地勘もないくせに。ホント、バカだな。)
男は腕時計を見た。
(方位磁針でも付いているのか?)
「太陽はあっちか。そんで短針を向けて……」
(太陽? 短針? 方位磁針じゃないのか?)
男は太陽の位置を確認すると、時計の短針を太陽の方角に合わせた。こうすることで短針と文字盤の12時の真ん中より約10分早めた方角から南を知ることができるのだ。
「よしっ、わかった。あっちが南だ」
(わかった? どうやって? 何をしたんだ……? い、いや、コイツの知能が高卒レベルであることには変わりないんだ。そ、そうさ、だいたい、日付と時刻がわかればあとは太陽の位置で方角の見当はつくんだ)
「そろそろ仕事に戻らぁ。休憩時間終わっちまうからよ。現場のオッサンうるさそうだったかんなぁ。じゃあまたな」
(もう会いたくない)
男は急いで走り去った。南の方角へ。
「やっぱりバカだ……」
「東です」
マキオは面倒くさそうに答えた。
「東? そうか。サンキュー」
(サンキュー? こんな抽象的な答え方でわかってんのかよ? ここの土地勘もないくせに。ホント、バカだな。)
男は腕時計を見た。
(方位磁針でも付いているのか?)
「太陽はあっちか。そんで短針を向けて……」
(太陽? 短針? 方位磁針じゃないのか?)
男は太陽の位置を確認すると、時計の短針を太陽の方角に合わせた。こうすることで短針と文字盤の12時の真ん中より約10分早めた方角から南を知ることができるのだ。
「よしっ、わかった。あっちが南だ」
(わかった? どうやって? 何をしたんだ……? い、いや、コイツの知能が高卒レベルであることには変わりないんだ。そ、そうさ、だいたい、日付と時刻がわかればあとは太陽の位置で方角の見当はつくんだ)
「そろそろ仕事に戻らぁ。休憩時間終わっちまうからよ。現場のオッサンうるさそうだったかんなぁ。じゃあまたな」
(もう会いたくない)
男は急いで走り去った。南の方角へ。
「やっぱりバカだ……」

