東京大学教育学部に在学するマキオは幼少の頃から、現在は名門私立高校の理事長を務める父の教育によりその秀才ぶりを見せ、県下一の進学校を首席で卒業し、難なく東京大学に合格した。しかし、文武両道を教育方針に掲げる父には一度として認められることはなかった。ここ十数年、マキオは父に褒められた記憶がない。食事と睡眠以外の時間のほとんどを勉強に費やしてきた代償は、運動はもとより協調性、コミュニケーション能力の欠如。もちろん彼女もいなければ友達もいない。