電車を乗り継ぎ、霞ヶ関駅で降車し、旧法務省祝田橋庁舎に足を進める。その目はまっすぐ前を見ていた。父との、友との、そして自分との約束を果たすために。決して色褪せることのない時間と友情を胸に――。
 マキオは足を止めるとジーンズのポケットから再びリュウのピックを取り出した。それを掌の上で見つめ、強く握り締める。そして、ゆっくりと掲示板を見上げた。
 マキオはうつむいた。涙が一つ、アスファルトに滲んで消えた。強く握り締めた拳を空に向かって突き上げる。高く、高く――天まで届け――
(見てるか? リュウ……。僕はやったぞ……!)