マキオは近藤の制止を聞かずに走った。
(繋がった。すべて繋がった。リュウがなぜあの日、あの時間、あの場所にいたのか。その理由も真相も……。あとは確たる証拠だけ。父さんが誠意ある男ならきっとあるはず。そこにあの記載が……!)
 未完成だった“リュウのパズル”のピースはあと1つ――。

 近藤はジャケットの胸ポケットからタバコを取り出し、それに火を点けてくゆらせた。
「約束は守らなくちゃ。それが社会のルールってもんだぜ? 世間知らずのお坊っちゃんよ……」

 マキオは足を止めた。目の前にそびえ立つ9階建てのホテルメッツを見上げる。目指すはその3階、杉並区役所駅前事務所。

 最後のピースはここにあるはず――。