マキオは走った。脇目も振らずに走った。商店街に差し掛かり、人だかりに気づいたマキオは足を止めた。“KEEP OUT”の黄色いテープとパトロールカーの赤いランプがいっそう現場の物々しい雰囲気を漂わせる。マキオはゆっくりとその現場に近づいた。野次馬を掻き分け、広がる視界に入ったのは、血痕――。
「リュウ……!」
 マキオは呆然と立ち尽くした。「離れて下さい!」警察官の声で我に帰ったマキオは迂回しようと人だかりの外に出た時、道端に見覚えのある物を見つけると、それを手に取った。
「これは……」
 リュウ愛用のピック。マキオはリュウのピックをポケットに忍ばせると再び走り出した。