プライダル・リミット

「リンちゃん!?」
 リンが何か言いながらマキオの手を引いていた。この大音量の中では何を言っているのかさっぱり聞こえない。カクテルパーティー効果もあったもんじゃない。マキオは必死にリンの唇を読んだ。リンの唇は“イ”“オ”の形を繰り返している。おそらく「行こ」と言っているのだろう。マキオはリンに誘われるまま客席の最前列まで来てしまった。リンに手を握られたことは単純に嬉しい。嬉しいんだけど……。マキオは迷っていた。