…冬。

雪が舞い、息が白くなる頃。

私は平凡な日々を過ごしていた。
勉強して、友達と話して、部活に出て…
今日もいつもと変わらない。
そんな毎日に飽き飽きしていた。

友達と話すことだって、ワンパターン。
学校のこと、テレビのこと、ファッションのこと…
そして…恋ばな。
友達はみんな、好きな人がどーのこーのとか、誰々が告白するとか、話している。
彼氏持ちの友達もいる。
好きな人、彼氏、告白…
そして、恋。
私はそういった単語とは、まったくと言っていいほど無縁だ。
だから、私にはついていけるはずがなく…
私はただただ、あこがれの気持ちを募らせるだけだった。

上条紗羅(かみじょうさら) 中学1年生。
私はまだ恋をしたことがない。
私の周りには、恋をしたことがある人も、現在進行形の恋をしている人もたくさんいる。
だから、興味がないわけじゃない。
だけど…
この人、いいかも…
いつもそれで終わり。
告白されても、最後に出る答えは同じで。
結局断ってしまう。
それは“好き”っていう気持ちとは違って。

私はいつになったら、人を“好き”になれるのだろう。

いつになったら、“初恋”をするのだろう。

淡い期待を抱いていた。

綺麗な夢を描いていた。

私は…
恋に恋していたんだ。