自分に自信のない麻尋は、姫なんかじゃない。
実はツンデレラの前にカボチャの馬車が自分には、1番似合うのではないか。
そんなことを思った麻尋の目の前で、白のカーテンが揺れました。
少し色褪せたような、図書室独特の本の匂いが鼻をかすめます。
明るいグラウンドと、色褪せた図書室。
王子様の譲と、カボチャの馬車なのか姫なのかも定かではない麻尋。
―…どう考えてもふたりは線対称なのです。
そんなこと分かっていたはずなのに、改めて実感すると涙が出そうになりました。
(………あれ、)
気晴らしのために視線を外へ向けた麻尋は、さっきまでと少し違うことに気付きました。
(…城市くん、いない…)
さっきまで、ラリーをしていた譲の姿がないのです。
テニスコート、水道、部室前。
麻尋は思わず立ち上がって、譲を探します。
(なんで?どこ行った?)
自分が感傷に浸っている間に、消えてしまった譲。
今まで経験したことがなかったからか、麻尋は焦りを感じていました。
(見失うなんて、最低…)
ボロボロな自身を麻尋が責め始めた時のことでした。
「―…譲くん!」
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