勝てない相手ほど、負けたくないじゃん?


簡単にいく試合なんておもしろくないじゃん?



恋愛だって、一緒なんじゃないかってのがオレの持論。



だって、そーじゃん。



つれない相手ほど、惹かれていくじゃん?


冷たくされると、構い倒したくなるじゃん?







〈王子はデレの影を追う〉






パコーン―…パン!



響くボールの音に、安心感を感じる平日の午後。



(あ……また、だ)



城市譲は、今週4回目の視線を感じていました。



妬みを持った視線では、ないのです。


逆に好意を重ねたような熱視線…というところでしょうか。




打ちながらでも分かる、このしつこいくらいの視線。



(あーあ…ミスできねーじゃん)



実は…譲には、この視線を送ってくる相手が特別な存在だったのです。



桐谷麻尋。


いつもむすっとしていて、不機嫌そうな女子。


性格もあまのじゃくで、中々素直になれないというのが譲の見解でした。



だけど、その麻尋こそが、譲の思い人でもあるのです。




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