最悪だ、最悪だ。


またあんな……!




ツンデレラこと、桐谷麻尋は深く深く後悔していました。



こんな後悔、もう何度目なのだろうか。


そう思うことで、彼女はもっと後悔してしまうのでした。




「……はぁ、」



深い深い溜め息。


麻尋の溜め息は、この数分でもう3回目です。




「……(どうしよう…!絶対変に思われたよね!?だって私ならがっかりだもん。いくら優しくても、あんな態度とられたらー…でも、やっぱりかっこよかった…!あれでご飯3杯いける…!)」



頭の中も関係ないことも含まれてはいますが、愛しの城市くんのことで頭が爆発しそうです。




城市譲は、テニス部の新鋭とも言われる、爽やかで優しい―…いわゆる王子様でした。



そんな彼に、同じクラスになった途端、一目惚れをしてしまったのが他の誰でもない、麻尋です。




“桐谷さん、おはよ!”


“……(…!?)はよ、”




かわいくない性格のせいで、中々クラスに溶け込めないでいた麻尋にも声をかけてくれ、



“早くみんなと仲良くなれるといいね”


“………うん”




クラスの中で麻尋に気付いてくれる、唯一の存在でした。



そんな彼の隣にいると麻尋は、心臓が痛くなって、呼吸も上手にできなくなるのです。



(―…ドキドキして、耳が熱くなる、)




“―…好きなんだ”



(…私だって、好きだ!)



生まれて初めての恋に、麻尋は一生懸命でした。




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