(…城市くんが、付き合ってって言ったんだ、)
ずっと好きだった人です。
(別れるまでは……私の城市くん、だもん…!)
彼の優しさが眩しくて、いつか立ちたいと思った彼の隣。
自分は彼の隣に立つ資格を持っているのでしょうか。
(…さっきの子、かわいかったなー…)
あんな人が、シンデレラにふさわしいのかもしれません。
麻尋は、それとは全く逆のツンデレラ。
シンデレラはガラスの靴を落として、王子様に気付いてもらえるのです。
でも…ツンデレラは?
カボチャを落としたところで、王子様の記憶に残るはずがありません。
靴がガラスだったのは、きっとキラキラして綺麗だからです。
綺麗じゃないと、王子様とシンデレラには似合いません。
自分もシンデレラだったらよかったのに、
麻尋は俯いて、唇をぎゅっと噛みました。
ツンデレラは泣いても絵にならない。
魔法使いだって出ない。
素直になれないツンデレラは、みすぼらしくて、滑稽で醜い姿のまま。
ハッピーエンドを迎える、幸せなふたりを遠くから見つめるしかできないのです。
.

