部屋に落下音が響き渡った。



でも、痛くない・・・。



ショックを吸収するかのように
かずいの下に、黒崎がいた。



「・・・・!!!ゴメンっ!!!!」



驚いて、黒崎から離れた。


うそ・・・黒崎が私の下敷きに・・・


「大丈夫ですか?」



「うん・・」



黒崎のほうをみると、
衝撃でめがねが飛んでしまったようで、
素顔があらわになった。



めがねなしの黒崎は、初めて見る・・・。



「あの・・ありがとう、助けてくれて」



「・・たまたま下にいただけですが・・
でも、よかったです、怪我がなくて」


相当目が悪いようで、
手探りでメガネを探しながら、そういった。




ふんわりと黒髪が、黒崎の滑らかなほほを隠す。
ふと顔を上げたとき、隠されていない、黒崎の目が
あらわになった。

色素の薄い、こげ茶色の目。


<・・・キレイ>



気づくとかずいはそう発していた。




でもそのあとハッと気づき、口をつぐんだ。




黒崎の様子をみる。


・・・黒崎には聞こえなかったみたい。


足元に落ちていた、黒ぶちメガネに気づき、手渡す。


目が見えないから、黒崎は、私の至近距離まで来た。


その距離、30cm。


黒崎の目と私の目があった。


黒崎が私の手から、めがねを受け取って
かけるまでのあいだに。


胸の奥にともり始めた
感情に気づき始めていた。


そっと、目をそらした。




わたしは、確実に

ドキドキしていたんだーーーー