あたしの初彼☆王子様はお姫様??

電話の向こうで、話し声が聞こえて、



「…桃歌?俺…」



そして聞こえた大好きな人の声。



それは間違えるはずのない…大好きな声。



「…葉瑠夏君?…」



「うん…。ゴメンね。向陽と話してるところジャマしちゃって…」



「別に平気だよ」



「さっきは…ビックリさせちゃってゴメンね…。もう少し話がしたくてさ…」



「うん…」



「なんて言うか…ゴメンね。ホントにゴメン……桃歌…」



そう言って、電話に出た葉瑠夏君は何度もあたしに謝った。



もうこれで今日は、何回葉瑠夏君の『ゴメン』を聞いたかな?



「なんか…葉瑠夏君、あたしに謝ってばっかりだね。もう謝らなくていいよ」



「え??あ、ゴメ……」



「ほら。そうやってまた謝るし…」



葉瑠夏君に『謝る』って言葉はなんだか違和感がある。



自由で、自分を持っていて、



掴みどころがなくて、



優しいけど意地悪……



それが、あたしの中での、



『葉瑠夏君』だから。