「やっぱ…隠して付き合うなんて出来ねぇ…」



葉瑠夏君の小さくつぶやく、そのひと事が、



あたしをもっと不安にさせる。



「何を?何を隠してるの?何もないでしょ??葉瑠夏君は葉瑠夏君だもん」



「……言わなきゃいけない……俺……」



「……??」



葉瑠夏君はゆっくりと瞬きをし、目を開け、



歩く足を止めた。



そして、



「俺……俺さ……」



あたしに向かって、かすかに微笑むように、



あたしの大好きな優しい声で、



「…俺…男じゃないんだ……」



そんなの…信じたくないよ。



「……嘘っ?冗談ばっかり…」



「マジで言ってんの。俺は向陽の妹!女なんだよ……」



そんな…悲しそうな笑顔で言わないで……。