「もしかして、おでこにキスじゃあ、物足りなかったとか??」



少し意地悪な口調であたしの顔を覗き込む葉瑠夏君。



「そんなんじゃないからぁ…」



「な~~んだ。違うの?つまんな~い!」



葉瑠夏君は、わざと大げさに口をとがらせ、ニヤリと笑う。



あたしは真っ赤になりながら、葉瑠夏君の隣を歩く。



「やっぱ桃歌は可愛い~なぁ♪」



恥ずかしくて、葉瑠夏君の顔をまともに見れないあたし。



「可愛いとか…ないよ。葉瑠夏君はあたしより、ずっと綺麗な顔してるし…」



「俺??」



「うん。よく言われない??」



「あぁ…まぁ…たまにはね……」



思わず本音で『綺麗』なんて言っちゃったけど、



何故だか葉瑠夏君は少しだけ、その言葉に表情を曇らせた。



さっきまでの笑顔とは違う、



なんだか困ったような顔で苦笑いをする葉瑠夏君。