ユウくんは、もういない。
指輪を貰った次の日にユウくんのお父さんが大阪に転勤する事になって、ユウくんも大阪に転校する事になった。
ユウくんにお母さんはいなかったから、こっちに居たいとゆうユウくんを預かってくれる人もいなく、しぶしぶ引っ越してしまった。
もちろん悲しかったし、泣いたりもした。
その度、今日みたいにお母さんが謝ってきた。
「何でだろう…?」
「え?俺のヴィジュアルが何故そんなにかっこいいのは何でだろうって?」
「あ、ナルシ。」
「ナルシって呼ぶなよな!ナルシじゃないし!成詩ってみおじだけど…カタカナにすんな!」
コイツは私の幼なじみのナルシ。
下の名前は知らないから、ナルシはナルシストだしナルシと呼ぶ事にした。
「ナルシさぁ…初恋とかした事ある?」
「お前このナルシ様を馬鹿にしているのか?あるに決まってるじゃないか」
「自分でも"ナルシ"って言ってるじゃん」
「言ってない!言ってるけど…言ってない!」
「初恋した事あるのか。どんな初恋だったの?」
ナルシは少し考え込む。
別に顔は悪い方じゃないと思うけど、ナルシだもんね。無理だわ。生理的に。
「おい……」
「ん?何?何で涙目?」
「声に出てたぞ。」
「ごめんね。てか遅刻だ。んじゃあまたね!」
私は走った。ナルシを置き去りにして。
