「これサエちゃんにあげるからもう泣かないで」

と、ユウくんは私の右手に何かを置いて、私の手に握らせた。

「これ何……?」

「ゆびわだよ。ゆびわ。」

「ゆびわ?どうして?」

するとユウくんは少し照れながらこう言った。

「サエちゃんが好きだから…ゆびわあげる!」

「本当?私もユウくんの事大好きだよ!」

私はもう泣き止み、笑顔を取り戻していた。

「じゃあ約束しよう」

「やくそく?なに?」

「絶対に嘘はつかないで」

嘘?なにそれ?と思ったけどあまりにもユウくんの顔が真剣だったから「分かった」と意味も分からぬまま言った。

そのあとユウくんはいっぱい笑っていた…

――――バサッ!!

ん?寒いぞ…

「早く起きないと遅刻するわよ。」

あれ?ユウくんは?

「何で?!」

「何でもかんでも!早く支度しなさい!」

……あぁ。あれは夢か。

そうだよね。ユウくんは…もういないんだもん。