ドキンドキン……
心臓が高鳴る。
俺はキミを見つけたんだ。
一番左の列の2番目に
座っていたキミを。
俺の自己紹介に一生懸命、
耳を傾けてくれていたキミを。
俺は初めての恋をした。
桜がはらはら舞う季節。
俺は恋をした。
それは甘酸っぱくて
杏子のような恋だった。
「じゃあ…席は…
仲村の隣だな★」
頭のてっぺんがはげはじめた先生が
指名した席は……
そう。
キミの隣だった。
高鳴る心臓を押さえて
席へと向かう。
リュックを下ろして、席に座る。
緊張して言葉が出てこない。
あたふたする俺にキミはこう言った。
「あたし仲村楓。
よろしくね★」
笑顔が可愛くて、
雰囲気がふわふわしている。
そんなキミの言葉に俺はただ、
頷くことしかできなかった。
キミのショートカットの髪が
さらさらゆれる。
キミが笑う。
キミが教科書をめくる。
キミの行動、しぐさ…
全てが愛しく思えるんだ。
転校した先で見つけた恋。
それが叶うことが
ないってこと、気付いてた。
だけど…
俺の初恋の相手はキミだということに
変わりはないんだ。
恥ずかしくても
叶わないってわかっていても
俺は告白する。
大好きなキミへ…


