ガララ―…
「おはよー★」
教室に入る。
ジャンバーをロッカーに仕舞っていると
後ろから抱きつかれた。
反射的に振り返る。
「美緩ぉーおはよぉ★」
桜だった。
なんとなくいつもと違う。
あれ…?
なんだろ………
何か違う。
顔、服、足、手…
髪…髪だ!!
「桜、髪切った?!」
やっと気付いた。
すると、目を輝かせて
大喜びをする桜。
「気付いてくれたあ!!
みんな気付いてくれないんだよ~?
ひどいよね…」
あたしも少し絶たないと
わからなかったから、
あまり言えないんだけど…笑
「桜は髪切っても
可愛いわあ…★」
本当に可愛い。
あたしとは大違い、
「そんなことないよ~
あたしなんてクソだし★笑
美緩の方が可愛い♪」
「そんなお世辞いらないわ~♪笑」
ふざけた会話。
楽しい
いや、楽しんでいたはず。
楓の顔がふと脳裏をよぎった。
桜に聞いたら何か
わかるかな……??
楓のこと。
小学校の頃のこと。
桜を水飲み場に連れていく。
「ねえ、桜あー…」
正直聞くのが怖かった。
あとで後悔するんじゃないかって…
だけど、聞かないで
不安なまま過ごすのは嫌だ…
勇気を出して言った言葉。
「遼の過去…教えて…??」
一瞬、全てのものが静止した。
あたしの中の、
全ての記憶…
過去…
何もかもが止まった。
いっそ、このまま
動かないでほしいとも思う。
全てのものが、
全ての景色が、
色褪せることなく、
ずっとこのままで
あり続けてほしいと思った。


