「可愛いよね…♪」
無理矢理作った笑顔で、
無理矢理考えた言葉で、
楓に言う。
「あとね~
ちっちゃいのが可愛い♪」
そう言って無邪気に笑う。
心に黒い闇が広がる。
今すぐ逃げ出したくなった
ふと顔を上げると、
校門の前を歩いていた。
あたしは少し
解放された気がして
体が軽くなった。
ボカッ
頭に衝撃が走った。
びっくりして振り返る。
「バカ美緩~♪笑」
いたずらっ子のような
笑顔を浮かべて
立っていたのは……
里織だった。
「さーおーりー 怒」
飛びかかる寸前でやめる。
「ごめーん、美緩~」
「…ったくもー
けっこう痛いんだからなぁ…」
里織のせいで頭が少しクラクラする。
バカ里織…
「里織ちゃん、
美緩ちゃんいじめちゃダメ~!笑」
あたしと里織の会話に
入ってきた楓。
なんとなく可愛かった。
3人で笑う。
この時間が、瞬間が
泣きたくなるくらい
一番大切なものだった
ねえ…かえちゃん?
あたしがあの時、
嘘をつかずに本当のことを
きちんと話せていたら
今のあたし達は、
あの頃のままでしたか?
今のあたしには、
それが一番の後悔です


