尚とは夏の終わり頃から付き合っていた。
お互いずっと好きだったというわけでもなく、ただノリで付き合っていたというだけだった。
だから、手も繋がなかったしキスもしなかった。
今時珍しいくらいだと思う。
あたしと尚はそんな深くも浅くもない微妙な関係だった。
だからいつ別れてもおかしくない関係。
みんなそれなりに納得してくれた。
落ち込んだ気分のまま、学校へ向かう。
尚が言った、
『俺、もう無理だから』
という言葉が頭の中でぐるぐると回っていた。
それはまるで、壊れたカセットテープのようだった。
何度も何度も同じことばかり繰り返す。
止めたくても止まらない。
あたしの心のどこかがぽっかりと空いているみたい。
なんだか苦しい。
恋の終わり方がこんなに辛くて苦しいなんて、初めてで。
どうにもならないこの思いは、おさまらない。
尚、さよなら。
あなたはひどかったよ。
こんなに期待したけど、結局裏切られて終わり。
以上、終了。
だなんて寂しすぎるよ。
ごめんね。
あたしは尚みたいに強くないんだ。
さよなら。
もう振り返らないよ。