――中1 10月――
「ごめん。別れて」
突然切り出された別れ。
本当に突然でまだ理解ができてないあたしをよそに尚は言う。
「いいよな?」
「……」
「もう俺無理だから」
無理って?
意味分かんないよ…
「な?」
「……うん」
「じゃな」
「……バイバイ」
そう言って尚は歩き出してしまった。
1ヶ月付き合った尚に別れを切り出され、どうすることもできずにさよなら。
「なにそれ…」
遠ざかる尚の背中に怒りをぶつける。
「……バカ尚!!」
尚は悪くない。
でも心がいうことを聞いてはくれない。
坂口美緩(さかぐちみひろ)。
13歳、中学1年生。
たいして可愛くもなく、目立つ方でもない普通の女の子。
ごくごく普通な人間。
昨日まで彼氏もいて、幸せだった……はず。
確かに、そうだった。
今日。
1ヶ月付き合った彼氏に別れを告げられ可哀想な子になってしまった。
「…緩…美緩!!」
誰かの声で我に返る。
「んん?」
「やっと気付いた…」
そこには親友の綾音(あやね)がいた。
「美緩、大丈夫?」
「ん?大丈夫大丈夫☆」
「尚も尚だよね~、まったく……」
「んね。腹立つ~っ!!」
「もうあんな奴忘れな?」
「あったりまえじゃん♪」
「美緩ならもっといい人見つかるよ☆」
「てか、見つける♪!」
「頑張れ~」
そう言ってるものの、実はまだ引きずっているあたし。