廊下を3人で歩く。


B組の前では、麻梨(まり)と愛菜(あいな)がいて、



C組の前には、瑞季(みずき)と千波(ちなみ)がいる。




みんな女子バスケ部の1年生部員だ。



水飲み場はD組の前にある。





そういえば…

遼はD組だったよね。




ふとそう思って教室を覗いてみる。




案の定、里織の隣の席に座っていた。



試しに手を振ってみる。



すると…


笑顔で振り返してくれた。





―…キュンっ




心の奥がぎゅっと掴まれたような感覚がした。




「可愛い~♪」



思わず声に出てしまった。




「美緩ちゃん、誰が可愛いって♪?」


「美緩~☆教えよ?」




ゔっ…




口に出して言ってしまったことを今になって後悔する。



「ん~?秘密☆」



「「なんだそれっ」」





キーンコーンカーンコーン…



5分休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。


「チャイム早っ!!」


「まだ水飲んでないのに~」



大急ぎで教室に戻るあたし達。





あたしの頭の中では、さっき見せてくれた遼の笑顔がぐるぐる回っていた。





可愛かったな…



遼の笑顔はあたしだけの宝物。