…―放課後。



部活見学に行った。

もちろんバスケ。




その日は体育館の日で、男バスとハーフで使っていた。



まず先輩の自己紹介。


みんな明るくていい先輩。




この部活なら

『楽しくやっていけるかな』って思えた。




部活見学が終わって、片付けを手伝ってから体育館から出ようと友達と向かっていた。





――その時。





ドンッ!!



誰かとぶつかった。


その反動で倒れ込むあたし。




身体に激痛が走る。




「…痛ぁ…」





「ごめんなさいっ!!大丈夫?」



目を開けると涙で視界がぼやけているので顔がよく見えない。




涙がこぼれ落ちた。



「…泣かしちゃった。
すみません…
…本当にごめんなさい。」




…どこかで聞いたことがある声がする。




「お前、何泣かせてんだよ」



「…だって嶺(れい)が押すから…ごめんね?」


「は?俺のせいかよ」


「遼も嶺もふざけんな!」


「志帆(しほ)、うるせえんだよ」


「ぶつかったんなら謝りなさいよ!!」


「俺がやったんじゃねえし。」


「あんた、中学でも俺様なの?!
いい加減にしてよ」


友達と嶺くんがケンカをし出した。



あたしのせいでケンカなんて…




「本当にごめんね?」

と言って右手を差し出す男の子。




あれ??



この優しさって…




???





遼くん…



えっ?遼なの…?




顔を見ると確かに遼だ。






遼…






あの時ぶつかった人は
遼だったの……――?