―――春。
入学したばかりのあどけないあたし達を満開の桜と先輩や先生の笑顔が迎えてくれる。
校門をくぐる。
桜の花びらがあたしの肩に落ちる。
思わず立ち止まって、その桜を拾う。
「……綺麗…」
満開の桜があたし達を包み込んでくれるような気がした。
校舎に入る。
あたしの教室は1-A。
新しい制服で、
新しい上靴を履いて、
新しい気持ちで
教室へと向かう。
『―これより、新入生歓迎会を致します。
2・3年生は準備を、新1年生は廊下に椅子を持って整列をしてください…』
校内にアナウンスが響く。
体育館に向かうあたし達。
ポンポンと肩を叩かれて振り返る。
そこには、とても美人な女の子が立っていた。
ストレートのロングヘアーで、
いかにも優等生という感じがした。
「ねぇねぇ…あなた名前なんていうの?」
遠慮がちにその女の子が訊ねる。
「あたし?坂口美緩です。あなたは?」
ほんの少しの自己紹介。
「私は、樹元桜(きもとさくら)
よろしくね」
これが桜との出会いだった。
体育館に行って
先輩方主催の、新入生歓迎会を見る。
あたしはバスケ部に入るつもりだったからバスケしか見なかった。
「美緩ちゃんは何部に入るの?」
体育館から戻る時、桜ちゃんが話してきた。
「あたしはバスケ部だよ♪」
「そうなんだあ…
私はバレー部なんだ!」
「そっかあ~」
なんて話ながら歩く。
教室に戻って帰る準備をする。