――4月7日




『新郎…寺脇拓弥。
あなたは妻を生涯、愛することを誓いますか?』


「誓います」





今日、あたしはここにいた。


純白のきれいなドレスを着て、
白いベールに包まれて、


あたしは教会にいた。



今日から正式に拓弥のお嫁さんになれるんだ。




『新婦…寺脇美緩。

あなたは旦那を生涯、愛することを誓いますか?』



「誓います」




『それでは誓いのキスを…』



拓弥の方を向く。

すると、にっこりと笑ってあたしのベールを捲った。





拓弥の顔が近づく。



ちゅ…



軽く小さな音がして拓弥の唇とあたしの唇が触れた。



純粋に長く優しいキス…。

それは“よろしくね”のキス…



そっと唇を離す。
あたしのベールも元に戻る。




『それでは指輪の交換を…』


神父さんの言った通り、指輪を交換する。


拓弥があたしの薬指に指輪を嵌める。




「…美緩…綺麗だよ」


あたしも拓弥の薬指に指輪を嵌める。



「…拓弥も」





二人で見つめ合う。
自然と時が流れる。




『新郎新婦の退場です

皆さん拍手をお願いします…』





パチパチパチ……


ゆっくりと歩き出す。


教会の扉を開けると、たくさんの人がフラワーシャワーをしてくれた。



階段を降り終えると、体がふわっと宙に浮いた。

と同時に、周りから歓声があがる。

見れば、お姫様だっこされていた。




「ちょ……拓弥??」

「…ここが家だったらすぐ抱けるのに…笑」

「///ばかっ……//」

「可愛い~」




拓弥が笑う。

すると、油断した隙にキスを落とされた。



唇を離し、お姫様だっこから解放される。


ブーケを渡された。

きれいな花が咲きほころんでいた。



そしてあたしは、ブーケを投げた。




幸せになれ……