数日後……
高校の入学式。
「美緩、忘れ物はない??
ちゃんとあいさつするのよ??」
お母さんが言う。
あたしは小学生かっ!
「大丈夫だって★」
笑顔で振り向いて言う。
「だって……
今日から美緩、
この家から出ていっちゃうじゃない…
お母さん、寂しくて……
またいつでも遊びに来るのよ??」
…―そう。
あたしは今日から高校生。
そして、今日からこの家を出る。
拓弥と同棲生活のスタートなんだ。
「大丈夫大丈夫^^
お母さんも元気でね??
行ってきます」
お母さんが安心したような顔をする。
それから
「いってらっしゃい」
と笑顔で送り出してくれた。
歩き出すあたし。
パタンと閉まる扉の音。
振り返る。
「今日までありがとね…」
家にお礼を言う。
俯いて歩き出す。
「…美緩」
ふいに名前を呼ばれた。
顔を上げるとそこには、愛しい人が立っていた。
「待ちきれなくて迎えに来ちゃった」
ぺろっと舌を出す。
そのしぐさが可愛くて
寄り添うように拓弥の左手にしがみつく。
「行こっ!!拓弥^^」
「おう」
新しい西高の制服に身を包んだあたし。
少し短めのスカートが少し違和感を感じさせる今日この頃。
あたしの手が繋ぐ先は、愛しい拓弥の手。
拓弥の左側はあたしの特等席。
特等席を陣取って、新しい道を歩く。
咲き始めた桜の花びらが一枚はらはらと舞った。
「…拓弥、桜キレイだよ!!」
「そうだな^^」
桜の並木道が西高へと続いていく。
その道を拓弥と二人で歩く。


