遼…


さっきの出来事がまだ頭の中でぐるぐる回っていた。



なんで知ってたのかな?



入学した頃って言ってたけど何かあったっけ…?



思い出すにも浮かんでこない。



何があったのかな?







「ふう…」


周りに気付かれないように一人ため息をつく。





……目が痛い。



さっきいっぱい泣いたからかな?






泣かないって決めたのに…



我慢するって決めたのに…



強くなるって誓ったのに…






全然ダメだな…あたし。


誰かが側にいないと生きていけない…。




その誰かが、紛れもなく遼だということに気付くのはもっと後になってからだった。