「…来たよ!!」
誰かが叫ぶ。
それにつられて、拍手がちらほら。
パチパチパチ…
最初に来たのは2組。
知ってる先輩はいなかったけど精一杯、心を込めて拍手をする。
次々と卒業生があたしたちの拍手の中を
笑顔と涙で通っていく。
拓弥のクラスはまだ来ない。
あたしは両手を握りしめた。
“拓弥へ”と書かれた手紙を胸の前でそっと握りしめた。
「美緩…それ渡すの?」
桜が笑顔で訊ねる。
「うん^^渡すんだぁ♪」
桜は頷いて、『頑張って』と言った。
振り向くと、拓弥のクラスの先頭が見えた。
心臓がドキドキする。
足が震える。
あたしの心はまだあの頃のままだった。
拓弥が近くなる。
「先輩っ……これ」
学校での呼び名で呼んで手紙を渡す。
「お、ありがとう^^
頑張ってね♪?」
あたしに笑顔を見せてこう言った。
その笑顔は今まで見た笑顔の中で一番、輝いていた笑顔だった。
あなたの笑顔は
あたしも笑顔になれるんだよ。
だから……
どこでもいつまでも笑っていて…。
あたしがここで見てるから。
『大好き』
声にならない声で伝えた。
これがあたしの一番、伝えたかった言葉。
この言葉を伝えるのに一年かかったけど
最後に伝えられた。
あたしの言葉に答えるように
あなたは後ろでピースを作った。
その後ろ姿に何度、恋をしたことか…
でも今は、その後ろ姿にもうときめいたりしない。
ありがとう…
大好きだったよ。


