「美緩……相談乗るから、話して?」


そう言ったのは梨杏だ。

このまま泣きついていいのかな……?



弱いままでいいのかな?


「ううん。大丈夫……」

「全然大丈夫な顔してない」



あれ…
なんで知ってるんだろう?

梨杏はあたしの心が読めるのかな…?



少し……少しだけ…
梨杏に甘えてもいいかな……?




「梨杏……あたし…わかんないよ…

もう何もわかんない…」


涙がまた一つ、また一つと流れる。



泣きながら、梨杏に全ての経緯を話した。

梨杏は頷きながら聞いてくれた。




「そっか……
梨杏は、自分が一番幸せな方を選んだ方がいいと思うよ?

一緒にいて幸せなほうが美緩にとっての幸せだと思うよ」




梨杏の言葉は真っ直ぐで、一つ一つに気持ちがこもっていた。





あたしが……
一番幸せだったのは…
拓弥の時。



でもね……?
それはもう選べないんだよ……。


さんざん傷つけて
もう一回お願いします、

なんて都合のいいことできるわけない…




「…あたし……
拓弥は好きだよ……?


でもね……

同じくらい遼も好き」




わがままだってわかってる。

でも…決められないの。

どっちも大切だから…



失いたくないんだ……




「それじゃだめだよ!!」


梨杏が強い口調で言う。

「美緩は…お人好しだから両方大切にしたいのはわかる。

でもね、決めなきゃいけない時だってあるんだよ…


どちらかを手放さなきゃいけない時だって…あるんだよ…



ずっと両方を守り抜くなんて
できないよ……??

今決めなきゃ。

自分の出した答えにもっと自信持っていいんだよ?


勇気出していいんだよ?


わがままになって決めればいいんだよ…」




梨杏の言葉が胸の奥に突き刺さる。

真っ直ぐ、あたしの一番弱いところに響いてくる。






「あたし…決めるよ」



涙を拭って、笑顔で言う。