王子様を見つけて?






「じゃぁ、今日こそは遊びにいくよ」


「うん。頼むよっ」







エレベーターの中でそんな約束を交わしてから、あたしは5階でそこを降りた。



昨日、見た光景と同じ廊下を歩く。

つきあたりにあるあたしの部屋の扉に手を掛けた。





ふと、隣の部屋に目を向ける。



輝くん…………帰ってきてるのかな?

また、会いたいな。



勝手に来ちゃいけないよね、と思っておとなしく自分な部屋に足を踏み入れた。







昨日は整頓をしただけで、他は何もしてない。


部屋の電気をつけて、ソファーに制服のまま勢い良く座り込む。



余計な荷物、持ってこなくてよかった、とあたし的にキレイな部屋を見て思った。






「あ。そういえば……」





比呂に琢也の番号、教えてもらってたんだっけ。

ごそごそと鞄から携帯を探しだす。




そして、“佐藤 琢也”の文字を見て一息。






…………どうしようかな。

今の時間だと、栞とまだ面会してるかな……。






そうやって思い止まり、メールを送るのは、やめた。


琢也の画面を開いたまま、携帯を折りたたむ。




まぁ、いいか……、

明日また話せばいいし…。





「ふぁ〜…」






と、大きく伸びて欠伸をしているとガチャという音と共に、







「心結ー?入るよー?」







羽奈ちゃんの声が玄関から届いた。